- 題名
- 朝の手紙 - 24 -
- 登録日
- 2009/03/13
- 内容
最近、米国や日本に行かれた方は、入国の時に空港で誰でも指紋を取る経験をしたと思います。
私たちの指先に波模様で出来ているこの指紋は、全世界の60億の人口の中で、同じものを持った人は一人もいないそうです。私たちが、手で物を触ったら、どんな物にでも、私たちの指紋がそこに残るように、私たちは自分だけの唯一の指紋を持って出会うすべての人に、組織に、そして自己の仕事に痕跡(あと)を残して生きています。
皆さんは相手(同僚、取引先等)に、または、会社にどのような跡を残していますか。
今日、社長として私は、皆さんと「シムテックにどのような跡を残したいか」についてお話そうと思います。結論から申し上げますと、私は正直(Integrity)を残したいと思います。
私たちは、お互いに非常に長い間、核心価値である正直(Integrity)を共有してきました。
ご存知のように、Integrityが抽象名詞のhonestyと異なる点は、Integrityには「正直を行動に移す」という、具体的な行動が含まれているところです。聖書のルカによる福音書には、次のような話があります。
ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の命を得ることができますでしょうか」。
イエスは、彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはそれをどのように読むのか」。
律法学者は答えて言った、「『心を尽くし、命を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。
イエスが言われた、「あなたの答えは正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、永遠の命が得られる」。
この御言葉は、人が頭で理解することに留まらず、実際に行うことに永遠の命の鍵があるという意味です。ところが、実際に正しいと思うことであっても、その通りに行うことは決して容易ではありません。恐怖、恥、そして自己中心的な考えで間違ったことを間違っていると言えず、「人と屏風は直にはたたず」といいながら、世の中と妥協してしまった経験は誰にもあると思います。私が正直(Integrity)を私たちの核心価値に定めた際の背景はこうでした。
私たちは、誰でも誤りを犯すことはありますが、その事実を色んな理由で、人に明かすことをはばかるようになります。
にもかかわらず、勇気を持ってその誤りを明らかにすることは、それから来るかも知れない、より大きな不幸を防ぐために重要な役割を果たすと考えたからです。
私たちの顧客とも、問題があるたびに隠さず、彼らに進んでその問題を机の上に置き、虚心坦懐に話し、むしろ助けを求めたことが、今日のような深い信頼を築く礎となりました。誰でも誤った決定をすることがあることを認め、そのことを組織内の同僚と、または、上司に正直に話をして共に悩み、反省して正しい方向へ歩き直すこと、それを皆さんと私の心の奥深いところに刻み、その気持ちを持ちながら、一緒に歩みたいというのが、本当の意味の正直(Integrity)です。
いったい誰が他人を非難することができましょう。
しかし、上手く出来たことは「よくやった」と言い、間違ったことや悪いことに対しては、「それは違う、それは良くない」と言える組織文化がシムテックの中に正立できること、それが真にここに残したい跡なのです。
シムテックを率いる皆さん、
世界の景気が予想よりも厳しく、この不況が長引くという観測が支配的です。このような一寸先が暗闇のように予測困難な状況の中でも私たちが選ぶべき道は、上の絵のように、大勢の人が揃って行きたがる広々とした快適な道ではなく、孤独で狭く、険しい道であるかも知れません。皆さんと私がどのような状況でも、「現実を直視し、正しく反応して」、私たちと私たち次世代の為に、正直な跡を残すようにしましょう。
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